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ファーウェイ問題の背景と今後の展開は?

米トランプ政権は5月15日、ファーウェイと米国企業の取引を禁止すると発表しました。
かなり大胆な措置に見えますが、米国とファーウェイの間にはこれまでさまざまな問題がありました。

これまでアメリカ含む世界各国が中国のネット市場への進出ができなかったのは、中国が海外の企業の進出に制限をかけていたためです。
GoogleやFacebook、Twitterなど多くのメジャーなサービスは中国では使うことができません。もちろんこの件に関してアメリカはよく思っておらず、両国の関係性は決して良好とはいえない状態が続きました。
今回はアメリカがファーウェイ1社の製品の締め出しを行いましたが、すでに中国側は同じようなことを行っていた訳です。

また、アメリカはファーウェイ製の端末に対して不信感を抱いていたというのもあります。ファーウェイ製のスマートフォンにバックドアが仕込まれていたとの調査結果があったためです。
バックドアとは、直訳すると「裏口」のことで、セキュリティの分野では「コンピューターへ不正に侵入するための入り口」のことです。バックドアが端末に仕組まれていると情報が勝手に抜かれたりする恐れがあります。
また、ファーウェイは次世代通信5Gの通信基地局分野についても高い技術力を持っています。定石であれば、5Gの基地局もどこかのキャリアが少なからず採用することとなっていたでしょう。
ただ、通信のインフラに悪意のある仕組みを組み込まれたとしたらその被害は甚大なものとなります。
中国も決して戦争を望んでいるわけではないと思いますが、米中の関係性を加味すると、核を保有することとも似た、「軍事力」的な考え方でそういった機能を組み込む可能性をアメリカも懸念しているのかもしれません。

これら含むさまざまな問題を経て今回の規制にと至ったかと思います。

Googleがファーウェイ端末へのサービスを停止
今回の規制によって、米国のIT巨人Googleも今後ファーウェイとの取引を行うことができなくなります。するとファーウェイ製のスマートフォンにも大きな影響があります。
ファーウェイ製スマホはAndroidですので、当然AndroidOSが搭載されています。Android OSはGoogleの開発したものですが、オープンソース化されているので、これを使うこと自体は問題ありません。

締め出しによってファーウェイ製の端末で使えなくなるのはGoogle各種サービスです。
「Youtube」、「Gmail」などをはじめ、アプリをダウンロードすることができるプラットフォーム「GooglePlayStore」も提供が停止となるので、アプリのダウンロードができなくなります。(厳密にはできないという訳ではないですが、かなり手間になります。)

ファーウェイ端末は日本でもかなりの台数が出荷されています。Googleのサービス停止措置の対象が中国国内で使う端末ではなく、ファーウェイ製の端末とされているため、日本の市場にも大きな影響があります。

現状、Googleは発売済みのファーウェイ製端末についてはサポートを継続すると明言していますので、もし今お持ちの方でも安心してください。

「ファーウェイ端末を使用するユーザから米国政府の禁輸措置に関しての質問がありました。米国政府の要件に準拠している間は、Google PlayやGoogle Play Protectなどのセキュリティのサービスが既存のファーウェイ端末で機能し続けることを保証します。」

今後発売予定の端末についてはどのようになるのか…。

恐らくGoogleのサポートの打ち切りは遅かれ早かれ確定的との見方がありますが、それがいつになるかはまだ明確に見えないようです。
ファーウェイもファーウェイで独自OSの開発を急いでいるとのこと。iOS・Andoroidに続く第3の勢力となるのか、中国国内でガラパゴス化するのか、どうなるのでしょうか。

日本の通信キャリア各社も万が一のトラブル回避のためか今夏発売予定としていたHUAWEI P30/P30 liteの発売を延期・中止としました。

正直、PlayStoreが使えないとなるとスマートフォンとしての機能の多くが発揮できないのと、Google製のアプリには生活のインフラとなっているものも多いので、今回の禁輸措置は大きいですね…。