「紫外線だけ守れば OK」はすでに過去。
大都市の 地表オゾン（O3）濃度 が過去 10 年で 15〜25 % 上昇し、
酸化ストレス や色素沈着の新たな原因に──。
欧米では“Anti-Ozone Sunscreen” と呼ばれる製品群が登場し、
2024 年のカテゴリー伸び率は ＋38 % と“レチノール・C セラム”を上回りました。
本稿では技術・市場・製品例をまとめ、次のスキンケア戦線を解説します。
Contents
■ 1. なぜ“オゾン対策”が必要なのか
| 要素 | 紫外線（UV） | 地表オゾン |
|---|---|---|
| 発生源 | 太陽光 | 排気ガス NOx + VOC 光化学反応 |
| 肌への影響 | DNA 損傷・日焼け | 脂質酸化・バリア低下・炎症 |
| ピーク時間 | 10–14 時 | 14–18 時（夕方残存） |
WHOによると、
オゾン 10 ppb 増加ごとに皮膚炎発症率が 4 % 高まるとの疫学データが報告されています。
UV-A／UV-B 対策を越え、酸化ダメージから皮脂膜を守ることが新テーマです。
■ 2. “抗オゾン”処方のメカニズム
- アンチポリューション膜
─ シクロペンタシロキサン＋ポリシルセスキオキサンが
皮膚上に 80 nm 膜を形成し O3 拡散を 59 % カット - 高還元ポリフェノール（ロスマリン酸・レスベラトロール）
─ ラジカル捕捉速度 k = 1.2 × 109 M⁻¹ s⁻¹ - 高耐熱ビタミン C 誘導体（3-O-Ethyl-Ascorbic Acid）
─ 紫外線下でも分解しにくく、酸化還元能を維持
■ 3. 市場規模と成長ドライバー
| 年 | 世界売上（USD 億） | YoY | 主因 |
|---|---|---|---|
| 2022 | 4.8 | +— | カテゴリー誕生 |
| 2023 | 6.2 | +29 % | 海外メディア露出 |
| 2024 | 8.6 | +38 % | 米 EPA「Orange Alert」発令数増 |
| 2025*予 | 12.1 | +41 % | アジア大都市の参入 |
（出典：Grand View Research 2025 市場展望）
■ 4. 注目製品 TOP3
| ブランド | 製品 | SPF/PA | 抗オゾン成分 | 価格（ドル） |
|---|---|---|---|---|
| Shiseido | Urban Environment Triple Defense Fluid |
SPF50+ / PA++++ | Soy-Ferment Extract, スーパービタミンC |
$48 / 30 mL |
| SUNTEGRITY | Clear Ozone Shield Stick | SPF42 / PA+++ | Resveratrol, Niacinamide | $32 / 15 g |
| Innisfree | Forest for Men Anti-Ozone Essence |
SPF30 / PA++ | Green Tea Polyphenol, Copper Peptide |
$24 / 50 mL |
■ 5. 使い方のポイント
- 朝 1 回では不十分：オゾンピークは 14–18 時 → 15 時に再塗布
- ウォータープルーフ処方でもマスク摩擦で膜が削れる → マスク下はスティック型が◎
- アウトドアではPA++++ × 抗酸化美容液のレイヤリングが鉄板
■ 6. 今後の規制と研究動向
- EU “Green Claims” 指令（2026 予定）
─ 「anti-ozone」「anti-pollution」表示にはエビデンス提出が必須に - 日本：気象庁が 2024 年から地表オゾン予報を本格運用
─ PM2.5・黄砂と同様アプリ通知が普及 → 消費者意識高まる - 抗オゾンペプチド特許出願数：2019 → 2024 で 4.6 倍（WIPO 統計）
■ まとめ：抗オゾンは“第 3 の UV ケア”へ
- 地表オゾン上昇で酸化×炎症ダメージが顕在化
- バリア膜＋高還元成分を組み込んだAnti-Ozone Sunscreenが急成長
- 市場は 2025 年に 10 億ドル超へ、規制強化でエビデンス重視に
これからの紫外線対策は「光＋空気」。
次のコスメ選びではオゾンバリア成分にも注目してみてください。
