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ビットコイン ETF 連騰記録更新!──機関マネーはどこまで入ったか(2025年6月)
米国現物ビットコイン ETF が6 月 24 日まで 11 営業日連続で資金流入を記録し、1 日当たりでも 5 億 8,860 万ドル(約 9,200 億円)と 6 月最大の流入額を叩き出しました。流入の 7 割を占めたのは BlackRock「IBIT」 と Fidelity「FBTC」。この11 日連騰はローンチ初期を除けば最長で、市場では「ETF バブル再点火か?」との声も――。では実際どこまで機関投資家マネーが入ったのか、データで深掘りします。
1. 連続流入の内訳
| 日付 | 1 日流入額 (USD) | 主導 ETF |
|---|---|---|
| 6 / 12 | 384.9 M | IBIT, FBTC |
| 6 / 17 | 421.5 M | IBIT |
| 6 / 24 | 588.6 M | IBIT |
| … | (合計 11 日) | — |
データ出典:Cointelegraph/Farside Investors
2. ETF 全体の保有残高は?
- 総保有 BTC:1,234,343 BTC(発行上限 2,100 万 BTC の 5.9 %)
- 時価総額:1330 億ドル
- 発行本数:12 本(ローンチ:2024 年 1 月 10 日)
ETF に「封印」されたコインは 3 か月で +30 万 BTC 増加。これは同期間に発掘された新規マイニング量(約 42,000 BTC)の7 倍に当たります。需給タイト化が進むのも当然と言えるでしょう。
3. 機関マネー流入ペースの試算
| 期間 | 累計純流入 | 日次平均 | 想定年率 |
|---|---|---|---|
| 2024/1/10–6/26 | 115 B USD | ≈ 590 M | ≈ 150 B |
| 直近 30 日 | 11.2 B USD | ≈ 370 M | ≈ 90 B |
年率 900 億ドル換算でも、米国大型株ファンドに流れる資金(年間 3–4 兆ドル)に比べればまだ 2 % 強。ラリー序盤という見方も強まっています。
4. 今回の流入を後押しした 3 ファクター
- FRB 利下げ観測
金利据え置き発表直後に「9 月利下げ」織り込みが 75 % へ急上昇し、ETF への資金シフトが加速。 - 半減期後の供給逼迫
2024 年 4 月の半減で日産 450 BTC。ETF 吸収量はその 10 倍規模へ。 - 法人税ヘッジ需要
米企業が年央決算前に BTC をキャッシュ換え避難先として組み入れたとの指摘(Bloomberg 報道)。
5. アウトフロー反転のシグナルは?
- IBIT の純資産増減率 が 10 日 MA を割り込む
- Grayscale GBTC の割引率が -5 % 未満へ戻る
- CME 先物ベーシス の急拡大(>15 % 年率)
これら 3 指標が揃えば「短期過熱→是正」の可能性が高まり、ETF 資金も滞留しやすくなると想定されます。
6. 投資家向けまとめ
✔ ETF の 11 連騰は確かに強力だが、機関資金は株式市場全体と比べまだ 2 %。
✔ 「供給<需要」が続く限り、ETF ラリーは一本調子でなくとも中長期では押し目買い優勢の構図。
✔ ただし外部ショック(FRB タカ派転換、規制ヘッドライン)で流入が 1 日でも止まれば、短期調整は急。
したがって短期トレーダーはETF 流入ストリークの途切れをアラート設定し、中長期投資家は毎月定額買い+オンチェーン流出入をモニターするハイブリッド戦略が有効と言えそうです。
※本記事は 2025 年 6 月 26 日時点の公開データを基に執筆しました。投資判断は自己責任でお願いします。
