ビットコイン“6 月の魔物”──4 年で 3 度の大幅下落、そのジンクスを追う
株式市場が「夏ラリー」を期待する一方で、ビットコイン(BTC)には“6 月の魔物”と呼ばれる下落ジンクスがあります。Cointelegraph がまとめた通算成績によると、2020 年以降の 5 回の 6 月でプラスは 1 度だけ。今年 2025 年も 6 月 23 日に一時 10 万ドルを割り込み、早くもマイナス圏に沈んでいます。では、4 年で 3 度の大幅下落を生んだ構造的要因とは何でしょうか。
1. データで振り返る「6 月ジンクス」
| 年 | 月間騰落率 | 主な要因 | データ出典 |
|---|---|---|---|
| 2020 | -3.44% | 5 月半減後の利確売り | StatMuse |
| 2021 | -6.04% | 中国マイニング規制ショック | StatMuse |
| 2022 | -37.28% | UST 崩壊後の “Luna ショック” 連鎖 | AINvest |
| 2023 | +11.97% | BlackRock ETF 申請で強気転換 | StatMuse |
| 2024 | -7.1% | 独政府の 50 K BTC 売却懸念 | 21Shares |
この 5 年間で下落 4 回・上昇 1 回という結果。とくに 2022 年は月間 -37% と 2013 年以来の記録的下落を喫し、“魔物”の異名を決定づけました。
2. 6 月特有の売り圧力 3 つの仮説
- 半減期ロックアップ解除
2012/2016/2020 の半減期後に資金拘束されていた古参マイナーが、年度半ばの納税・設備投資に合わせて一斉利確しやすい。 - マクロ指標の“イレギュラー月”
米 FOMC は 6 月会合で金利方針を修正することが多く、リスク資産全般が警戒モードに入る。 - 規制イベントの集中
EU MiCA(2024 年 7 月完全施行)、中国の暗号資産禁止通達(2021 年)がいずれも夏前後に発表され、市場が織り込み売りを先行させやすい。
3. 2025 年はどうなる? 現在のオンチェーン指標
- MVRV 比率: 2.0 を割り込み割高感が後退(6/25 時点、Cointelegraph)
- 取引所流入量: 6 月 1〜24 日で +35 K BTC と前年同月比 +12%
- クジラ保有量: 1000 BTC 以上アドレスは微増トレンド継続
まとめると「クジラは買い増し、リテールは売り逃げ」という構図。短期的なボラティリティは残るものの、過去の“魔物”ほどのパニックフェーズには至っていない印象です。
4. 投資家向け 3 つの対策
- ETF 純流入をウォッチ
2025 年は現物 ETF が下支え要因。連日のプラス流入が止まるかが分水嶺。 - オプション建玉の壁を確認
6 月最終週の Max Pain 価格は 95 K~97 K USD に集中。これを割ると清算連鎖リスク。 - 学習コストを稼ぐ
“魔物月”は逆にトレンド転換の兆候を見つけやすい。オンチェーンデータのチェック習慣を付ける好機。
まとめ
“6 月の魔物”はデータで見ても無視できないアノマリーですが、その裏にはマクロ・規制・マイナー動向など複合要因が潜んでいます。
2025 年も月間マイナス圏で終わるか否かはETF 資金フローと規制イベントの織り込み度が鍵。ジンクスを恐れるか、統計的チャンスと見るか——判断材料はあなた次第です。
※本記事は 2025 年 6 月 26 日時点の公表データを基に執筆しています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
