慣用句

誤解されやすい言葉「琴線(きんせん)に触れる」の本当の意味とは?

誤解されやすい言葉「琴線に触れる」の本当の意味とは?

「あの人を怒らせて琴線(きんせん)に触れてしまった」という言い方を耳にしたことはありませんか?
実はこの使い方、本来の意味からすると誤用なのです。
今回は「琴線に触れる」の正しい意味と、誤解されやすい理由について解説します。

よくある誤解

「琴線に触れる」を、
「怒りを買う」「地雷を踏む」
という意味で使う人が少なくありません。

例えば…
「上司の琴線に触れて叱られた」
という言い回しは誤用です。

本来の意味

正しい意味は、
「人の心の奥深くにある繊細な感情に触れて、強い共感や感動を呼び起こす」
です。

「琴線」とは琴(こと)の弦のこと。
その弦が震えるように、人の感情が揺さぶられることを表現しています。

なぜ誤解されるのか?

「触れる」という言葉が「怒りに触れる」と混同されやすいため、「怒らせる」という意味にすり替わってしまうのです。
しかし本来は「感動させる」「共感を呼ぶ」というポジティブな表現です。

日常生活での例

1. 音楽や芸術

美しいピアノ演奏に心を動かされる。
このとき「その演奏は聴く人の琴線に触れた」と表現できます。

2. 人間関係

友人の真心のこもった言葉に胸を打たれた。
これも「琴線に触れる体験」です。

3. 社会の出来事

災害時のボランティアの姿に心を動かされる。
ニュース記事や映像を見て「多くの人の琴線に触れた」と言えます。

ビジネスシーンでの活用

ビジネスでも「琴線に触れる表現」は非常に重要です。
広告やプレゼンテーションで、人の心を動かすストーリーを伝えるときにこの言葉が使えます。

  • 商品紹介で「消費者の琴線に触れるキャッチコピー」を考える
  • 顧客体験を通じて「人の琴線に触れるサービス」を提供する
  • 社内でのスピーチで「社員の琴線に触れる言葉」を投げかける

まとめ

「琴線に触れる」の本来の意味は、
「人の心の奥にある繊細な感情を揺さぶり、感動や共感を呼び起こす」
です。

「怒らせる」という誤用が広まっていますが、正しい使い方を知っておけば、文章や会話に深みを与えることができます。
誰かの心を動かす瞬間、それこそが「琴線に触れる」体験なのです。