慣用句

誤解されやすい言葉「敷居が高い」の正しい意味とは?

誤解されやすい言葉「敷居が高い」の正しい意味とは?

「あのお店は高級すぎて敷居が高い」といった表現を聞いたことがあるかもしれません。
しかし実は、この使い方は本来の意味とは異なる誤用です。
今回は「敷居が高い」の由来と正しい意味、誤用が広まった背景について解説します。

よくある誤解

現代では「敷居が高い=高級で入りにくい」「ハードルが高い」という意味で使われることが多くなっています。
例えば…
「高級レストランは敷居が高くて行けない」
といった言い回しです。

本来の意味

正しい意味は、
「不義理や後ろめたさがあって、その人の家や場所に行きにくい」
です。

つまり「経済的な理由や高級さ」ではなく、「自分の気持ちの問題で足が向きにくい」という心理的な障壁を表しています。

由来

「敷居」とは家の入り口にある段差の部分のこと。
敷居をまたいで中に入る=相手の家を訪れるという意味合いから生まれました。
過去に借金を返していない、約束を破ったなど、相手に対して後ろめたい気持ちがあると「敷居が高い」と表現されたのです。

日常生活での例

1. 人間関係

親しい友人に借りたお金をまだ返せていない状態で、その家に遊びに行くのが「敷居が高い」。
相手に後ろめたい気持ちがあるため訪問しづらい、という状況です。

2. 家族

長らく音信不通だった親戚の家に顔を出すのが気まずいと感じるとき。
これも「敷居が高い」の典型例です。

3. 学校や職場

学校で先生に約束を破ってしまった後、職員室に行きにくい。
職場で上司に迷惑をかけた後、デスクに話しかけに行きづらい。
このような「申し訳なさ」から来る気持ちが「敷居が高い」にあたります。

ビジネスシーンでの注意点

ビジネスの場では「敷居が高い」を誤用してしまうと、相手に誤解を与える可能性があります。
「御社は高級で敷居が高い」と言うと、本来の意味からすると「御社に後ろめたいことがあって伺いづらい」というニュアンスになってしまうのです。

正しく伝えたいときは、
「高級感があって入りにくい」
「少しハードルが高い」
といった表現に置き換えるのがおすすめです。

まとめ

「敷居が高い」の正しい意味は、
「不義理や後ろめたさから訪問しづらい」
というものです。

現代では「高級で近寄りがたい」という意味で広く誤用されていますが、ビジネスやフォーマルな場面では注意が必要です。
本来のニュアンスを知っておくことで、日本語をより豊かに使いこなせるでしょう。