2025 年は中央銀行デジタル通貨(CBDC)が世界 134 か国で研究・実証に進み、
同時にビットコイン規制も各国で分化が進んだ“転換点”の年です。
「国家が発行するデジタルマネー」と「非国家のハードマネー」は共存するのか——
主要 10 か国の最新ステータスを地図化し、政策タイプ別に整理しました。
■ 1. グローバル CBDC 概況(2025 年 7 月時点)
- 本格運用(正式ローンチ):11 か国(ナイジェリア、バハマ、ジャマイカ等)
- 大規模パイロット:21 か国(中国、インド、ブラジル ほか)
- 開発・試験:87 か国
- 研究段階:15 か国 :contentReference[oaicite:0]{index=0}
中国の e-CNY は 17 省に拡大し、決済総額 7 兆元(約 9860 億ドル)を突破。
一方、米国は議会で「デジタルドル」に慎重論が強まり、概念実証止まりです。
■ 2. 国別 “CBDC×ビットコイン” マップ(主要 10 か国)
| 国名 | CBDC ステータス (2025-07) |
ビットコイン規制 | 2025 年の主な動き |
|---|---|---|---|
| 中国 | パイロット拡大 e-CNY |
全面取引禁止 | e-CNY 取引額 7 兆元に到達 |
| アメリカ | 概念実証段階 | 合法(ETF 上場) | 現物 ETF 純資産 $140B、CBDC 法案は審議停滞 |
| 欧州連合 | デジタルユーロ開発 | MiCA で許認可制 | MiCA フェーズ 2 規則施行準備 |
| 日本 | 実証(パイロット) | 合法・取引所登録制 | 日銀「デジタル円」住宅ローン実証開始 |
| ブラジル | パイロット(Drex) | 課税 15 %・合法 | Drex API 公開、ビットコイン ETF 1 本上場 |
| ナイジェリア | 正式運用(e-Naira) | 銀行取引制限 | 規制緩和で P2P 制度化を検討 |
| インド | パイロット(e-₹) | 30 % キャピタル税 | CBDC 取引日量 50 万件突破 |
| スウェーデン | e-クローナ パイロット | 合法・消費税非課税 | CBDC 小売テストを伸長 |
| エルサルバドル | 研究段階 | 法定通貨 | 火山債 10 億ドル計画、CBDC は検討のみ |
| カナダ | 設計準備 | 合法・ETF 上場 | 「デジタルカナダドル」公共コメント終了 |
■ 3. 3タイプの政策モデル
- 共存型(例:アメリカ・EU・カナダ)
─ CBDC は決済インフラ、ビットコインは投資資産として許認可+開放 - 管理型(例:インド・ブラジル・ナイジェリア)
─ CBDC 普及を優先しつつ、ビットコインは高税率・銀行制限で“囲い込み” - 排斥型(例:中国)
─ e-CNY とモバイル決済を軸に民間暗号資産を禁止
■ 4. 規制タイムライン 2024 → 2026
| 年 / 四半期 | CBDC | ビットコイン関連 |
|---|---|---|
| 2024 Q4 | e-CNY 取引 3 兆元→7 兆元へ | 米現物 ETF 承認(IBIT ほか) |
| 2025 Q2 | ブラジル Drex API 公開 | MiCA フェーズ 1 施行(EU) |
| 2025 Q4 | 日銀パイロット拡大(デジタル円) | インド 30 % 税制継続—2 段階納税 |
| 2026 上期 (予定) | デジタルユーロ 法案採決 | 米「デジタル資産安全法」審議予定 |
■ 5. 事業者・投資家への示唆
- ライセンス最適化:EU で MiCA 域内パスポート/米で NY BitLicense など二刀流が有効
- 決済 UX:管理型市場では CBDC オンランプを用意し、BTC は “貯蓄・送金” 特化が安全
- 価格影響:排斥型はオンチェーンフロー減も OTC 需要増 → プレミアム価格を確認
■ まとめ
- 2025 年時点で「共存・管理・排斥」3 パターンに収斂
- CBDC が進むほど、ビットコインは投資/価値保存にポジションを移す
- ハードバン市場でも P2P・OTC が残るため、規制把握+ユーザー教育がカギ
国家デジタル通貨と非国家マネーは競合だけでなく補完もします。
“共存か排斥か” の二択ではなく、用途ごとの棲み分けを見極めましょう。
