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ビットコイン時価総額 5 兆ドル説は本当か?フィリップ・ラフォン氏の強気予測を検証
米ヘッジファンド Coatue Management を率いる億万長者 フィリップ・ラフォン氏が、「ビットコイン時価総額は 5 兆ドル(約 780 兆円)に到達し得る」と The Economic Times や The Motley Fool で語り話題です。現状のビットコイン時価総額はおよそ 2.1 兆ドル(価格 106k USD × 流通 19.8M BTC)。つまり+150%超の上昇余地がある計算――果たして妥当なのでしょうか?
1. ラフォン氏のロジックを整理
- 資産分散のパイ拡大
世界の純資産 450〜500 兆ドルのうち「ビットコイン比率が 0.5% → 1〜2%へ」となるだけで 4〜8 兆ドル規模になるという比較 CryptoNews。 - “デジタル・ゴールド”化
金の時価総額(約 15 兆ドル)の 3 分の 1 を奪うシナリオ。 - 機関マネー加速
現物 ETF への累計純流入が年初来 900 億ドルを突破し「年率 400〜500%ペースで拡大」と CNBC で発言(同インタビュー要旨を Yahoo! Finance が要約)。
2. データ検証:5 兆ドル到達シナリオ
| 項目 | 現在 (2025/6/26) | ケース A (機関流入) |
ケース B (金シェア) |
ケース C (両輪) |
|---|---|---|---|---|
| 市場規模 | 2.1 兆ドル | 4.3 兆ドル | 3.9 兆ドル | 5.1 兆ドル |
| 前提 | — | ETF 純流入 8,000 億ドル/5 年 | 金の 25%シェア奪取 | 両方同時達成 |
| 想定価格 | ≈ 106k USD | ≈ 217k USD | ≈ 197k USD | ≈ 257k USD |
機関資金(ETF)と“ゴールド・スイッチ”が同時に進行すれば 5 兆ドルは数字上 可能。ただしどちらか単独では 4 兆ドル前後で伸び悩む計算になります。
3. 実現を左右するカギ
- 金利サイクル
ラフォン氏は「FRB が 2026 年までに利下げ基調へ」と想定。低金利はリスク資産への資金シフトを後押し。 - 規制の明確化
米 FIT21 法案が 2025 年秋までに成立するかが ETF 追加入れ替え銘柄拡大の分水嶺。 - マイナー経済圏
ポスト半減で手数料依存へシフト中のマイナーがセキュリティ確保を維持できるか。
4. ベア派の反論
- エネルギー規制リスク
EU が 2026 年にビットコインマイニング排出税を提案するとの報道。 - CBDC 普及との競合
主要 20 か国のうち 8 か国が 2027 年までにリテール CBDC を導入予定で「法定通貨デジタル化」がキャッシュレス需要を奪う可能性。 - ETF 手数料競争
資金流入が伸びても手数料下落で運用会社のマーケティングインセンティブが低下する恐れ。
5. 投資家向けアクションプラン
- ドルコスト+アルト分散
強気予測に踊らず定額積立+ETH やソラナ等分散でリスク緩和。 - ETF 外の流動性確認
OTC、CME 先物、レンディング市場の深さをウォッチして需給ひっ迫を察知。 - マクロ連動指標の活用
米 10 年債利回りが 3%割れなら“ラフォン・スイートスポット”入りと想定。
まとめ
ラフォン氏が描く 5 兆ドル シナリオは、機関投資+デジタルゴールド化 が両輪で回ったときには十分到達可能な数字です。逆に片輪だけでは 4 兆ドル手前で伸び悩むリスクも。
「確率は五分、リターンは 2 倍超」——ハイリスク・ハイリターンをどう捉えるかは投資家次第ですが、少なくともデータと前提を並べて吟味することが、強気予測に振り回されないコツと言えるでしょう。
※本記事は 2025 年 6 月 27 日時点の公開情報を基に執筆しています。投資は自己責任でお願いします。
