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“世界の働き手 8 人に 1 人が AI 利用”──急拡大を示す最新調査を深掘り

“世界の働き手 8 人に 1 人が AI 利用”──急拡大を示す最新調査を深掘り

「AI は一部の IT エリートだけのもの」という時代は終わりました。ハーバード大の最新サーベイによれば、全職種で少なくとも 8 人に 1 人が業務に生成 AI を取り入れていることが判明しています。Harvard GSAS によると、この数字は職種・学歴を問わず均等に広がっており、「AI=専門職ツール」という前提を覆す結果となりました。


1. 調査の概要

  • 調査主体:ハーバード大学・David Deming 教授ら
  • 対象:全米 5,000 人超(職種・年収層を代表抽出)
  • 期間:2024 年 10 月〜2025 年 1 月
  • 主結果:「直近 1 週間で生成 AI を業務利用」12〜13%

2. 他調査との比較で読む「急拡大ペース」

調査機関 対象国 AI 利用率 コメント
Gallup 米国 40%(年数回以上) 過去 2 年でほぼ倍増
Pew Research Center 米国 16%(月数回以上) 「使わない」が 8 割
KPMG/Melbourne 大 47 か国 58%(意図的に使用) 57%が「上司に隠している」
World Economic Forum 世界 20%(教育・医療・職場のいずれか) 不足スキル解消が急務

国や調査手法の違いはあるものの、2023 年ごろは “数%” だった業務利用率が、わずか 2~3 年で 10%台前半→20%超 へ加速している傾向は共通しています。

3. 業種別に見る「AI 格差」

  • ソフトウェア/IT:利用率 50%超(Gallup)
  • 金融・プロフェッショナルサービス:30%台
  • ブルーカラー(生産・物流):1 割弱だが伸び率は高い

特にブルーカラー職での採用は「一気に 0→1」フェーズに入っており、今後 1〜2 年で大幅なキャッチアップが予想されます。

4. “影の AI 利用” が生むリスク

KPMG レポートでは57%の従業員が AI 利用を上司に報告していない実態が浮き彫りに。

  • 66%が AI 出力を検証せず転用
  • 48%が機密データを公開 AI にアップロード

ガバナンス整備が追いつかないまま現場利用が拡大している状況が見て取れます。

5. スキル・教育ギャップ

WEF と LinkedIn の共同分析では「AI スキルを履歴書に追加する確率が 2018 年比 2 倍以上」と報告。ところが Pew 調査ではAI 研修を受けたと答えた米国労働者は 28%にとどまり、“スキルある人だけが加速的に恩恵を得る” という格差の拡大が懸念されています。

6. 日本企業への示唆

  1. 実証フェーズを急げ:利用率 1 割→2 割の壁を超える鍵は「成功事例の社内共有」
  2. ガバナンスと透明性:“シャドーAI” 回避へポリシーと安全な社内環境を早急に整備
  3. 職場横断の再教育:ブルーカラー・ホワイトカラーをまたぐ共通 AI リテラシー研修を

まとめ

「世界の働き手 8 人に 1 人が AI を使う」時代はすでに到来しました。
次の 2~3 年で“1 in 5”→“1 in 3”へとジャンプする可能性も十分にあり、早期導入とルール整備の 両輪 が企業競争力を左右します。あなたの職場は、もう準備できていますか?

※本記事は 2025 年 6 月 27 日時点の各種公開情報を基に執筆しています。