住所といえば「東京都◎◎区◎◎1-2-3」というように都道府県・市区町村・番地の組み合わせが基本ですが、新しい表現方法が普及するかもしれません。
ロンドンのベンチャー企業が開発した「What3words」は住所を3つの単語の組み合わせで表現します。
what3words(ワットスリーワーズ)は、3メートルの解像度で場所を伝達するためのジオコーディングシステムである。what3wordsでは、地理的座標を3つの単語で符号化する。例えば、自由の女神像の持つ松明の位置は、”toned.melt.ship”の3語で表している。従来のほかの位置エンコードシステムとの違いは、長い文字(たとえば住所)や数字(たとえば経緯度)ではなく、3つの単語で簡単に表される点にある。
what3wordsの主な利点は、記憶しやすく、誤りを検出しやすく、明快な日常言語であること、専門性なく使用でき、音声入力がしやすい点にあると主張されている
Contents
仕組み
地球を3m✖️3mのマス目状に分割し、その1マスを3つの単語で表現してます。地球上をすべて分割するとなんと57兆個に分割されます。
例えば渋谷駅ハチ公像のすぐ目の前は
「ためす・おさらい・すめる」と表現されます。
でも、渋谷のハチ公像から3m横にずれた場所は
「しょっき・ごくい・おいこむ」
という全く別の言葉の組み合わせで表現されます。
既存の住所だとハチ公の目の前も、ハチ公から十数メートル離れたスクランブルも、そばにあるJR渋谷駅の改札前もすべて「〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2丁目1」という同一の住所で表現されます。
What3wordはその住所をさらに細分化して表現してくれるわけです。
この調子で地球全部を細分化して57兆個の単語のパターンで符号化してしまったのがこの「what3words」の画期的な仕組みです。
使い方
待ち合わせで
例えば「ハチ公の前」など分かりやすいランドマークがある場合は、待ち合わせも容易ですが、大きな公園などだと場所を共有するのも一苦労です。what3wordsで共有された場所なら的確にたどり着くことができます。
また、日本人にとっては日本の住所であれば馴染みがあるので共有するのも容易ですが、海外の場合は簡単ではありません。
What3wordは言語は違えど、単語の組み合わせは世界共通なので、異国の地でも場所を共有することができます。
機械語として
メルセデス・ベンツは次世代の車載AIシステムにこの「what3words」を採用しました。この先自動運転が登場することが予想されますが、機械は細かいニュアンスの認識が苦手です。
例えば行き先を「代々木公園の丸い広場の前まで行って」と伝えた場合に、機械(AI)は現時点では正確な場所を認識するのは難しいでしょう。人間なら例えば不確定な情報を「え?原宿駅側のところ?」「うん、よく人が踊ってるところ」「ああ、あそこね。OK」とコミュニケーションから詳細情報をつめることができますが、機械がそこまでのコミュニケーションをとることはまだまだ発展途上です。
ただ、このwhat3wordsを使えば「『れんあい・はりあい・けいれき』へ行って」と伝えれば正確な場所を理解し、連れて行ってくれます。
まとめ
対人間間のやり取りにおいてこのwhat3wordsが役立つかといえば微妙なところです。
人間は「ハチ公のちょっと右!」とか柔軟なコミュニケーションを取ることができます。
詳細住所を表す方法として緯度経度による座標という手段もあります。
例えばハチ公像の前は「35.659157, 139.700811」です。
でもこの表現は人間にとってはキャッチーじゃありませんよね。「ためす・おさらい・すめる」の方がまだ伝えやすいです。
対人間というよりはAI・機械とコミュニケーションを取るうえで丁度いいツール「what3words」は大きな橋渡しをなす存在になると思います。